子猫の状況がどうだったのかを知るために、何度か子猫を拾った場所に訪れ、調査をしていました。今日はそのご報告です。
とある日の早朝、拾った周辺の駐車場の塀の上に、大きなキジトラのオスを見つけました。隈取がとてもよく似ているので、たぶん父親であろうと。人慣れてしていない雰囲気で、にらみを利かしていました。一応写真を見せ、息子さんは元気だよ、というのを伝えておきました。
またとある日の早朝、今度はきれいなキジトラのメス猫を発見しました。無駄な脂肪がついておらず、とてもきれいな身体をしていました。顔が小さいところや、身体全体が細身であることから、母猫である可能性が高いです。近くにあのオス猫もいて、早朝のすがすがしい風を感じながら、彼らは道路のど真ん中でリラックスしていました。このあたりに住み着いている子たちのようです。そこは、拾った場所からすぐ近くの場所でした。
母猫には、謝っておきました。息子さんを勝手に預からせてもらいましたと。そして、元気にしている旨を伝えました。彼女は逃げも隠れもせず、ただゆっくりした動作で歩いていきました。一度振り向いて歩き出す彼女に、わたしはついていきました。距離を置いて、父猫も後からついてきました。
このあたりは、猫がたくさんいるのでしょうか。パーキングエリアだけでなく、古びた家屋の玄関、喫茶の玄関先に、飲み水やエサ入れが置かれていました。
メス猫が駐車場にたまった水たまりの水をゆっくりと飲み始めました。全部が全部、人間の世話になっているようではないようですが、とても賢く、人をよく見ていました。世話になるところは世話になるといった感じでしょうか。
200mほど歩いた先の線路沿いの駐車場のところに、子猫がいました。カリカリが置かれ、ご飯を食べています。別の一匹は、けんかをして線路をすごい速度で横断していました。母猫は線路の中に入り、線路の上でくつろぎ始めました。
母猫も父猫も兄弟姉妹もいたので、たぶん彼はここで生まれ、家族と暮らしていたのですね。拾ったとき、生後2週間で400gでした。便秘だったけど、ちゃんと母乳は与えられていました。ただ、後ろ足が立てないくらい全身の関節がプランプランだったことと、しっぽの毛が剥げるほど何らかのストレスがすでにあったこと、がりがりだったことから、彼は生存競争からいつも遅れを取っていたのではないかと思います。あと、ちょっと繊細なところもあり、いつもビビって端の方に隠れていた可能性もあります。最初の数週間は、免疫不全かと思うくらいいくら食べても筋肉や脂肪がつかなかったので、外で一人で生きていく力がなかったとも言えます。結果的に家で養生してよかったのかな。この子は完全屋内が向いています。
彼はもう、野良として家族の中で暮らすことはできませんが、いつか家族みんなが捕獲され一緒になることができたら、また会える時が来ると思います。今のところ、母猫は餌をくれる人がいるし、うまくやっているとのことなので、本人たちから直接要請が来るまでは様子を見ようと思います。
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この地域は、飲食店が連なるだけでなく、建物にお住いの方も猫に優しく、カリカリのえさを定期的にあげている人もいるので、食べ物には困らないと思います。たとえ子猫が生まれても、皆の了承のもとで人と共存しているなら、何の問題もないのではないでしょうか。地域みんなで子猫はかわいがり、見守り、粗相に寛容であれば。それが、昔からの共存の仕方な気がします。
TNR活動は、人がいないところや害になっている場合に行えばよく、調和がとれている地域は後回しでよいかと思われます。その地域に住む人の寛容さが一番の大きな要因ですので、それは見分ける必要があります。引っ越しや建て替え、解体などで人の入れ替わりがあると、また変わってくるでしょう。殺処分の問題にしろ、猫当人の問題というよりは、人間が関わる問題のように思います。私も勉強不足なので、どのような形が一番調和がとれるのか、これからも調べていければと思います。